葬儀の知恵袋(コラム)
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2021年11月2日(火)
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表書きの御霊前と御仏前とは?香典のマナー
表書きの御霊前と御仏前とは、香典袋に書かれているものですね。
表書きのご霊前は通夜から三十五日の法要まで。御仏前とは四十九日以降の仏式の法要で用います。
ただし、宗教によって異なるため注意が必要となります。
今回は葬儀に弔問した場合の適切な「香典袋(不祝儀袋)」のマナーについてお話しします。
<葬儀の参列関連の過去コラム>
葬儀に参列する際に持参するものに関しては「【葬儀】参列時に必要な準備と持っていくもの」をご覧ください。
また、参列時の言葉のマナーに関しては、【葬儀】「タブー用語」と「言葉のマナー」をご参照ください。
●宗教によって表書きは異なります
知人や親族としてお葬式に参列する場合は、封筒に現金を入れた「香典」を持っていく事になると思います。
一般的に「香典」と呼ばれる場合が多いのですが、宗教によってはマナー違反になってしまうので呼び方には注意が必要です。
それでは宗教ごとにご紹介します。
・仏教
仏教用の不祝儀袋は、白い封筒で白と黒の水引を使用します。封筒に蓮の花などの絵が描いてあっても問題ありません。
表書きは「御霊前 ごれいぜん」「御香典(奠) おこうでん・ごこうでん」、「御香料 ごこうりょう」が一般的です。
「御香典」は、本来「御香奠」と書きますが、どちらでも同じ意味なので使用は可能です。
また、表書きには同じ仏教でも宗派によって、本来使わないものも含まれておりますので後述いたします。
・キリスト教
キリスト教共通の不祝儀袋としては、水引がついているものは使いません。白い封筒かクロス(十字架)やユリがついているものを選びましょう。
白い封筒でも問題ありませんが、表書きが必要になるため文具店や書店で専用の封筒が販売されており、コンビニにも取り扱いがある場合が多いので購入するとよいでしょう。
また、「御霊前」でも基本OKですが、水引や蓮の花の絵がある仏教を連想するものは使わないようにしましょう。
キリスト教(カトリック)の場合
一般的には「御花料」です。その他としては「献花料」、「御ミサ料」とします。
キリスト教(プロテスタント)の場合
「御花料」、「献花料」とします。
・神道(神式)
神道(神式)での不祝儀の封筒は、白または白黒・白黄の水引を使用し、表書きは「玉串料(たまくしりょう)」(「御玉串料」でも可)または、「榊料 さかきりょう」(「御榊料」でも可)が神道の専用となります。
また、蓮の花など仏教を連想されない「御霊前 ごれいぜん」でも問題はありません。
●香典袋の種類
・香典袋は水引が印刷のものでも良い?
香典袋(不祝儀袋)の種類には、封筒が一枚もので印刷がされているものと、金封(上包み)と中袋そして水引が別にある豪華な不祝儀袋があり、選ぶ際に悩んでしまう場合があります。
「とりあえず豪華な香典袋を選べば失礼ではない。」という訳ではありません。
中に入れる金額によって変えることが一般的です。
一枚ものの印刷された封筒は、2万円または3万円くらいまで。
水引が印刷されていない豪華な香典袋は3万円または5万円以上の金額を包む場合に使用しましょう。
・水引の種類
水引にも種類があり、一度結んだらほどくことができない「結びきり」という結びは、二度と繰り返してほしくない場合に使用します。そのためお葬式などの弔事や結婚式に使われています。
一方、「花結び」という結び方は、ほどくことができ再度結ぶことができるので、何度でもくり返してよい一般的なお祝い事に使われます。
封筒を購入する際にパッケージに〇〇用と書いてあるので、確認して購入するようにしましょう。
・中袋付きの香典袋で気を付ける事
水引が印刷ではない豪華な封筒では、水引と金封(上包み)、そして別に現金を入れる中袋が入っているこ
とがほとんどです。
現金が入った中袋を金封で包む場合は、金封の下の折り返し部分を下にして重ねられるように包みます。慶事ではその逆になる事から、逆になっていると大変失礼にあたるので注意が必要です。
これは、下側の折り目が閉じていないと「不幸を受け止める」という意味になるだからだそうです。
このような折り方の注意書きがあっても見落としがちなので特に気を付けましょう。
●不祝儀袋の氏名は直筆で書きましょう
香典などの不祝儀袋には直筆の楷書で自分の氏名を書きます。地域によっては住所の記載が必要な場合があります。
毛筆や筆ペンで書くことがマナーとされておりますが、毛筆では難しい場合は、ボールペンでも構いません。いずれも心を込めて丁寧に書くようにしましょう。
●仏教の葬儀でも宗派や時期によって表書きは異なります
仏教の不祝儀袋の表書きには、どの宗教にも「御霊前」が使えるとご紹介いたしましたが、厳密にいえば浄土真宗系では使用しません。
これは浄土真宗系以外の各宗派では、亡くなってからすぐに霊として旅に出て、49日目に審判を受けてようやく成仏するという考えです。
つまり亡くなってから49日迄は霊の状態の為、表書きは「御霊前」が使用され、49日で成仏されるため、それ以降の表書きは「御仏前」となるのです。
一方、浄土真宗では「往生即成仏」という考えがあります。これは阿弥陀様によって亡くなった方はすぐに成仏するため、「霊」という段階がありません。そのため「御霊前」を使わないのです。
そのためお通夜・葬儀をはじめ、その後の49日の前や後の法要でも香典を包む場合は「御佛前」が理想なのです。
ただし、必ず「御佛前」を使わなくてはいけないという訳ではなく、本来の意味として「御佛前」が正しい。という事で、「御霊前」を使うと失礼にあたる。という訳ではありません。もし宗派をしっかりとご存知の場合は「御佛前」を使いましょう。
●香典(不祝儀袋)を渡す際のマナー
・香典の金額
みなさんがとても気なる部分かと思います。
友人や知人では、お付き合いに応じて5,000円~3万円(端数とされる7,000円や15,000などはNGです)が一般的と言われています。
結婚式のご祝儀では2万円のように割り切れる数字は「縁起が悪い」とされますが、葬儀では全く問題ありません。
このように金額の目安の情報がある事は非常に助かりますが、親族などの近親者の場合では、慎重に金額を決めましょう。地域差や親族間での取り決めや常識があるかもしれないからです。
包む金額が多すぎても少なすぎても「非常識」になってしまう可能性がるので、親族の中心的な方に香典金額の相談をするとよいかもしれませんね。
・中身を忘れないように!
お葬式の現場にいる私たちがたまに耳にすることは、香典袋にお金を入れ忘れている人がいる。という事です。
おそらく悪気はなく、単純にお金を入れたと思い込み封をしてしまったのでしょう。遺族に対して大変失礼ですが、何よりとても恥をかいてしまうので十分注意をしましょう。
・裏面には金額を記入します
金額欄に金額を書くことは失礼では?と思う方もいますが、書かない方がマナー違反です。
封筒に入れる金額を確認したうえで正確に書きます。
また、受付に香典を渡すときは、一礼後に両手で渡すなど礼儀も忘れないように気を付けましょう。
●知人の葬儀で宗教や宗派がわからない場合は?
友人や知人の参列する際には、事前に宗教や宗派がわからない事が多いと思います。
とはいえ、葬儀を控えとても忙しい遺族に宗派を聞くだけの連絡は控えるべきでしょう。
このように宗教・宗派がわからない場合は「御霊前」で差支えないでしょう。
先にお話しした浄土真宗では、「御佛前」が本来の意味であるとしましたが、知る人は少なく「御佛前」で出す方も少ないため、「御霊前」でも失礼にあたらないでしょう。
親族のお葬式の場合は、遺族や親族に確認を取る事で宗教・宗派を知ることが可能と思われます。
できれば確認したうえで、宗教・宗派に合った不祝儀袋を出すことをおすすめします。
まとめ
・お葬式時の香典は宗教や宗派によって表書きが異なり、宗教・宗派がわかる際には、表書きを合わせることをおすすめします。不祝儀袋は、書店や文具コーナーをはじめ近年ではコンビニなどでも種類が豊富です。
・香典袋(不祝儀袋)には直筆の楷書で自分の名前を丁寧に書き、裏面には金額を忘れずに記載します。また、うっかり現金を入れ忘れる方もいますので注意しましょう。
金封と中袋が別になった香典袋では、金封の下側の折り目を隠す折り方をします。
・知人・友人の葬儀でお葬式の宗教や宗派がわからない場合は、忙しい遺族に問い合わせたりしないようにします。どうしても不明な場合の表書きは、「御霊前」を使用することで失礼にはあたりません。
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